委員会・部会活動報告Report

活動報告

令和4年5月11日 オンラインセミナーを開催しました

昨年からのウッドショックの余波、そしてロシアのウクライナ侵攻問題により
輸入木材の供給がますます不安定になってきました。
そのような中で、世界の木材需給情報の把握と国産木材の適切な利用拡大が、
木造建築業界において重要なテーマとなっています。
元JBN国産材委員長でもある木村木材工業株式会社 代表取締役社長 木村司 氏をお招きし、
「危機の時代の木材調達」と題して、世界の木材需給概況と今後の予測についての解説や
想定される事態への対応策についてご講演いただきました。

最初に、ウッドショックと合板不足の背景と原因をお話しいただきました。
今年の2月中旬までは木材価格が値下がり傾向でしたが、
ウクライナ侵攻によりロシアからの輸入木材に先行き供給不安が出て、
ロシア産赤松野縁やレッドウッド集成材の値下げ販売が止まり、木材供給が厳しくなりました。
木村氏の私見では、今後の状況はかなり悪く、昨年以上の木材不足が想定され、
長尺針葉樹合板は入手できなくなるため代替品を検討する必要があると説明。
欧州材については、
戦争開始後、EUは大きく輸入依存していたロシアとベラルーシからの木材製品を禁輸にしたことから、
日本への木材輸出余力の減少や円安による、さらなる価格の高騰が考えられると説明した。

また今後に予測されるのは、住宅ローン金利の上昇である。
アメリカでは住宅ローン金利の上昇により、住宅価格の上昇が発生して住宅の需要が減少している。
この金利上昇の現象は今後日本でも起きると予測し、資材高による住宅価格の高騰との二重苦により、
大幅な住宅需要の減少が予想される。

最後に、今後予測される事態への工務店が取るべき対応策を3つ挙げていただいた。
1つ目は早期発注である。
入手困難な木材も、納期さえあれば何とかなる場合も多いので、前もって発注することが一番の対策である。
2つ目として、ホワイトウッド・レッドウッド集成材から脱却である。
もはや輸入材は安くないと考え、国産材など他産地への切り替えが大事であると説明。
3つ目に山へ、製材所へ足を運んで関係をつくることである。
工務店も製材工場も、持続可能な経営をしていくためには、
定常的に長い期間取引ができる関係を作り上げていくことが大切であり、
そのためにも山へ、製材所へ足を運んで直接対話することで「おなじみさん」になることをお勧めすると
説明いただきました。

その後、参加者からの質疑に対応いただき、セミナーを終了しました。